生活保護制度が良くわかる情報サイト


そもそも生活保護とは

そもそも生活保護とは 生活保護とは国や地方自治体が経済的に困窮する国民に対し健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、「生活扶助費」や「教育扶助費」や「住宅扶助費」として金銭を支給し「医療扶助」や「介護扶助」として投薬や介護サービスを現物支給する制度を意味します。
この様な生活保護制度は「生活保護法」によって規定されていますが、その背景となるのは「日本国憲法第25条」に規定されている理念です。
「日本国憲法第25条」は「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定しています。
つまり、「日本国憲法第25条」は社会権のひとつである国民の生存権を明確に規定し、国に対しては国民の生存権を守る社会的使命を規定しています。
従って、国民が病気や高齢やその他の止むを得ない事情によって経済的に困窮する場合は、国はその困窮の程度に応じて必要な保護を行い最低限度の生活を保障し自立を助けなければなりません。
但し、この様な最後の手段であるセーフティーネットとしての生活保護は、申請さえすれば誰もが認められる訳ではありません。当然のことながら、生活保護を受給するには、厳しい審査と様々な条件をクリアしなければなりません。


生活保護制度の問題点と今後の課題

生活保護制度の問題点と今後の課題 生活保護の受給者の推移を辿ってみますと、その時代に於いて経済的に困窮する国民の姿が浮かび上がってきます。
もともと、生活保護の原点は第二次世界大戦後の混乱の中で、経済的に困窮する国民を国家が助けることから始まっています。つまり、終戦直後の混乱の中で、食べる物に困窮する国民を餓死から守ることから生活保護制度は始まっているのです。
従って、1951年の生活保護の受給者数は204万人に上っています。その後、日本経済の回復と高度経済成長により国民生活は豊かになり、1995年の生活保護の受給者数は88万人まで減少しました。しかし、1995年以降は長引くデフレ不況や高齢化の進展で生活保護の受給者数は増加の一途を辿り、1999年に100万人の大台を突破し2012年に212万人の過去最多を記録しました。
従って、現在の生活保護制度の最大の問題は増え続ける受給者数と、それに伴う支給額の増大なのです。現在の生活保護の支給総額は4兆円に迫る勢いで、この金額は我が国の防衛費に匹敵する金額となっています。
また、生活保護制度の問題の2つ目は、生活保護費とワーキングプアの問題です。
つまり、勤労者の賃金が右肩下がりで減り続け、一生懸命に働いた人の賃金が生活保護費を下回る現実があります。そして、そのことが労働意欲の減退に繋がっていることも大きな問題と言えます。
更に、生活保護制度の問題点として、地域格差問題や外国人受給者問題・不正受給問題・貧困ビジネス問題などが指摘されています。
従って、今後の生活保護制度の課題として、適正に生活保護を受給するべき人と受給すべきでない人の区別化が重要となってきます。只、生活保護の現業を支える生活保護現業員(ケースワーカー)にとっては、生活保護を受給すべき人と受給すべきでない人を見分けることは非常に難しいケースが増えているのも現実と言えます。
そこで、現状の生活保護制度を詳しく分析し、今後の課題と展望を探ることが求められています。