生活保護受給者数の推移


Top > 生活保護受給者数の推移

生活保護受給者数の推移

生活保護の受給対象者

生活保護の受給対象者 現在、生活保護を受給している被保護世帯で最も多いのは高齢者世帯で、順に障害者世帯・傷病者世帯・母子世帯・父子世帯・その他の生活困窮世帯となっています。
中でも高齢者世帯は高齢化の進展と共に、近年、増加の傾向を一段と強めています。
1980年の生活保護世帯全体に占める高齢者世帯の比率は30.2%でしたが、2006年には50.2%に増加しています。今後、団塊の世代が高齢者の中心になることから、生活保護世帯全体に占める高齢者世帯の比率はまだまだ増えていくものと考えられます。
また、2007年の厚生労働省のデータによりますと、世帯所得が生活保護基準以下の世帯は597万世帯(全世帯の12.4%)であるのに対して、生活保護を受けている世帯は108万世帯(全世帯の2.2%)に留まっています。
つまり、厚生労働大臣が示した最低生活費を下回る世帯の中で、僅か18%の世帯しか生活保護を受給していないという現実があります。
同時期の諸外国の受給割合を見ますと、イギリス90%・フランス91.6%・ドイツ64.6%に対して日本の18%は極端に少ない数字です。
勿論、制度が全く異なる諸外国と単純に数字だけを比較することにそれ程の意味はありませんが、果たして、この数字はどの様な意味を持っているのでしょうか。
現在でも生活保護受給者の急増に悲鳴を上げている自治体にとって、今後、生活保護の受給希望者が益々、増えるということを意味しているのでしょうか。或いは、世帯所得が生活保護基準以下の世帯は597万世帯(全世帯の12.4%)もあるということは、生活保護基準の水準が高過ぎることを意味しているのでしょうか。確かに実際の給付額自体は、諸外国の水準を上回っていることは間違いないのです。


生活保護受給者数

生活保護受給者数 生活保護の受給者数を見ますと、第二次世界大戦の混乱の中で1951年には204万6,646人が生活保護を受給していました。
一家の大黒柱を戦争で失った家庭や親を失った子供や働き盛りの息子を失った高齢者などが、生活保護の受給に殺到したことは想像に難くありません。結果的に1951年の204万6,646人が、以後、61年間の生活保護受給者数のピークとなります。
その後、日本経済は驚異的な回復を見せ経済の回復に伴って人々の暮らしは豊かになり、生活保護の受給者数は日本経済の回復に反比例して減少していきます。
1995年の受給者数は88万2,229人まで減少し大底を打ちます。つまり、生活保護の受給者数の推移は経済状況の動きに数年遅行する傾向があることが解かります。日本経済は1989年~1990年に掛けてピークを付けますが、生活保護の受給者数は1995年まで減少し続けました。
そして、日本経済が完全に長いトンネルに入ったことが確認されて数年後の1995年から、生活保護の受給者数は増加し始めます。1999年に100万人の大台を回復し、2011年には200万人の大台を回復し、とうとう、2012年7月には212万4,669人と過去最高を記録しその後も増加を続け過去最高の人数を更新し続けています。
最近の傾向で以前と違うのは、人々から生活保護受給に対する抵抗感が消えつつあることです。以前は生活保護を受けることは一家にとって不名誉なことというイメージがつきまとい、高齢者や障害者や母子家庭や病気で就労できない人以外の受給は極めて少なかったのです。
しかし、現在の生活保護受給者の増加の背景に、その他の生活困窮者が増えているのが大きな特長なのです。つまり、働ける世代の受給が増えています。
その背景に、長引くデフレによる経済不況があることは間違いありません。また、格差社会に敗れた負け組みの人達が、躊躇無く生活保護を受給していることも否めません。
更に、地域社会の崩壊がこの傾向に拍車を掛けていると言えます。以前は地域社会の繋がりの中で、仕事を持ち家庭を持って地域に貢献する姿が見えていました。従って、生活保護に対する不名誉なイメージから受給を躊躇する雰囲気が自然に作られていました。
しかし、現在は地域社会の繋がりが崩壊し、都会では隣に住んでいる人の顔と名前も知らない人が増えています。この様な社会の中で生活保護の受給に対する不名誉なイメージは目立たなくなり、生活に困った人は安易に生活保護を申請する社会が生まれていると言えます。