地方分権と生活保護


Top > 地方分権と生活保護

地方分権と生活保護

現在の国と地方の負担割合

現在の国と地方の負担割合 現在の生活保護費の国と地方の負担割合は国が3/4で地方が1/4となっています。
しかし、厚生労働省はこの国と地方の負担割合を国1/2・地方1/2に変更する代わりに、「住宅扶助」の一般財源化と最低生活費などの保護基準を地方に委譲することを主張しています。
厚生労働省によりますと、生活保護行政事務の実施水準が低い地方自治体は、生活保護の保護率が高い傾向が顕著ということです。
そのため、生活保護費の地方の負担割合を引き上げることで、生活保護行政事務の実施水準が低い地方自治体の改善を促そうとしています。
しかし、地方自治体は厚生労働省の方針に猛反発しています。その理由は、実質的な地方分権は遅々として進んでおらず生活保護行政事務は地方自治体に裁量の幅が殆どないこと、そして、仮に国から財源を委譲されても、地方が生活保護費の1/2を負担することは困難だからです。
この様に国と地方自治体の議論は平行線となっています。


生活保護率の地域間格差

生活保護率の地域間格差
一般的に、人口に占める生活保護率の高い都道府県は、北海道・青森県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県となっており、保護率が低い県は富山県と愛知県となっています。
しかし、都道府県別に見るよりも、更に、地域間格差が顕著なのは、政令指定都市や中核市別に見た保護率の地域間格差です。
つまり、政令指定都市や中核市には、全体の44%の被保護者が集中しているからです。
従って、生活保護率の高い北海道・青森県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県に於いても、政令指定都市や中核市と他の地域との保護率の格差は非常に大きくなっています。
つまり、農村部に比べて都市部に高齢者や就労できない人達が多く集まり、その中から生活保護を申請する人達が増えていると言えます。
従って、都道府県内に於ける都市集中の現状や、背景となる年齢別人口移動の現状を把握することが求められます。
更に、地方財政に於ける生活保護費の位置付けや財政悪化による制度運用面への影響を検討し、地方都市が担う生活保護制度の役割分担の妥当性について考える必要があります。